ラーナとガットとパッセロ | |
(甲板。ダンテとリベルタ) | |
リベルタ | っていうことがあったんだよ、ダンテ |
ダンテ | はっはっはっ、確かにルカならお嬢様の寝言まで調べていてもおかしくなさそうだな |
リベルタ | えぇっ!? 寝言まで? |
ダンテ | 幽霊船の一件で、追跡用の錬金術があることが分かっただろう。 錬金術のことはよく分からんが、改良したら音を聞いたりすることもできるんじゃないのか? |
リベルタ | そういうもんなのかな。 ―――あ、アッシュ! |
(諜報部の見学をしていたアッシュ、会話に加わる) | |
アッシュ | なんだ、ヒヨコ頭。 |
リベルタ | その呼び方やめろよな! なぁ、錬金術ってさ……(かくかくしかじか)…… |
アッシュ | へぇ、アリアドネの糸、ねぇ。あのヘタレ帽子、そんな術を使ってやがったのか。 |
リベルタ | いや、そうじゃなくてさ。その、離れた場所にいる人の声とか聞けたりするもんなのか? |
アッシュ | さぁ、音を拾うぐらいはできるかもしれないけどな。 ……あのイチゴ頭に仕掛けたいのか? |
リベルタ | え? いや、そういうわけじゃ |
アッシュ | そういうことにウブだと思ったが、意外とエロいことも考えてるじゃねぇか |
リベルタ | は? 別にエロくなんかないだろ? |
アッシュ | 十分エロいだろ。ずっと音を拾うってことは、イチゴ頭の寝言だけじゃなく、風呂の水音なんかも |
リベルタ | う、うわー!うわー!うわー! べ、別にそんなことを考えて話をしたわけじゃなくて |
アッシュ | 鼻血出てるぜ。 |
リベルタ | 違う、これは、その……! |
アッシュ | お前、本当にオレより年上かよ。イチゴ頭の風呂ぐらい想像したからって |
ダンテ | あー、お前達、その話はそろそろ切り上げておくんだな。今日の予定では、そろそろモンドがジョーリィと一緒に様子見に来ることになっている。 |
モンド | はっはっはっ! 警告が遅いぞダンテ! |
(モンド、ジョーリィが現れる) | |
リベルタ | パーパ! |
モンド | 話は聞かせてもらったぞリベルタ、アッシュ! お前たち、よりにもよって我が娘の入浴姿を妄想するとは……けしからん! |
ダンテ | モンド、思春期の少年に想像すら禁じるのは無理があるだろう。 |
モンド | そんなことを言っているがダンテ! お前はどうなんだ? この二人の話を聞いておきながら、一片たりとも妄想しなかったとでも言うのか? |
ダンテ | ふざけるな! 俺をいくつだと思っているんだ。 |
モンド | 問・答・無・用! お前達3人とも、この先3日間、我が娘に近づかないでもらおうか! |
ジョーリィ | クックック……。ちょうどいい。私の新しい術の実験台になってもらおう。 なに、難しいことではない。この鈴を見につけているだけでいい。 |
リベルタ | なんだ、これ、本当に鈴なのか? ラーナの形してるぞ |
アッシュ | オレのはガットだ。 |
ダンテ | これは、パッセロか? |
ジョーリィ | お嬢様に近づけば、そいつが鳴くようになっている。鳴かせたくなければ近づかないことだな。 大層、かわいらしいことになるぞ。 |
リベルタ | 何だって!? |
アッシュ | 何だと!? |
ダンテ | 何!? |
ダンテ | ノータイムでそんなイヤがらせができるとは、さすがジョーリィ! |
ジョーリィ | クックックッ…… |
(翌日……) | |
リベルタ | お嬢! 昼メシ食いに行こうぜ |
鈴 | ゲコゲコゲコゲコ…… |
リベルタ | おわっ! |
アッシュ | おい、イチゴ頭。そこでマメに言伝を頼まれ――― |
鈴 | にゃーにゃーにゃー! |
アッシュ | うっ! |
ダンテ | お嬢さん。今度の哨戒任務への同行だが…… |
鈴 | チュンチュンピチュチュン! |
ダンテ | うぐっ! |
ラーナはカエル。ガットはネコ。パッセロはスズメ。錬金術って何でもアリだよね、ほんと。 |